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派遣社員とは?人材派遣の仕組みや正社員との違い、メリットまで解説

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働き方の多様化が進む現代において、派遣社員として働く人が増えています。また、人材不足に頭を悩ませる会社が派遣社員を積極的に採用する動きもあり、働き方を考えるうえで派遣社員は有効な手段の一つとなるでしょう。この記事では、人材派遣の仕組みやその他の雇用形態との違い、気になるメリット・デメリットについて解説します。

派遣社員とは

人材派遣の仕組み

派遣社員は派遣会社(派遣元)と労働契約を結び、派遣元が労働派遣契約を結んでいる会社(派遣先)に派遣されて派遣先の指揮命令を受けて働くという雇用形態です。
派遣先は派遣社員からの労務の提供を受けた後に派遣元に派遣料金を支払い、派遣元は派遣料金の中から派遣社員へ賃金を支払います。派遣社員は指揮命令する会社と賃金を支払う会社が異なるため、問題が生じることを防ぐために以下の法律や指針が定められています。

・労働者派遣法
・派遣元指針
・派遣先指針

契約を結んでいるのは派遣会社ではあるものの、問題が生じた際は法律や指針に基づいて指揮命令をしている派遣先と責任を分担することもあります。 

派遣社員の勤務の流れ

派遣社員の勤務の流れは以下のとおりです。

1.応募

派遣会社に登録し、スキルチェックや面談を受けます。

2.仕事紹介

希望を伝えて自分にあった仕事を紹介してもらいます。

3.就業開始手続き

雇用契約や社会保険など雇用関係の手続きを行います。

4.勤務開始

いよいよ派遣先にて勤務開始です。

5.勤怠報告

派遣会社に出退勤の報告を行います。報告内容に従って賃金が支払われるので、正確に報告しましょう。

6.契約更新または新しい仕事探し

派遣先から契約の延長要望があれば、更新手続きをするか断るかを派遣会社と相談します。他の会社を希望する場合、自身の希望やキャリアステップを考慮しながらキャリア相談が行われます。

派遣市場の動向

2020年1~3月平均の派遣社員数は約143万人で雇用者全体(5,661万人、役員除く)の約2.5%の割合を占め、15年ほど大きな変化は見られません。2018年の派遣売上高は6兆3,816億円となり、前年の6兆4,995億円と前々年の6兆5,798億円いずれも下回っています。
一方、2018年の許可制(労働者派遣事業)派遣会社の事業者数は38,128か所となり、前年度より12,846か所増加しました。2015年9月30日の派遣法改正で派遣事業の届出制((旧)特定労働者派遣事業)が廃止され、許可制(労働者派遣事業)に一本化されたことが要因です。

人材派遣と他の雇用形態との違い

正社員との違い

派遣社員は一日から長期など派遣先で働く期間が限られていて、派遣先の要望があれば延長する可能性もあります。所定労働時間もフルタイムとは限らず短時間勤務や週三勤務など多様です。なお、法律上の雇用主は実際に働く会社ではなく派遣会社となります。一方、正社員は労働契約の期間の定めがなく、所定労働時間がフルタイムであり、直接雇用の労働者を指します。したがって、派遣社員と正社員の違いは「労働契約の期間の定めの有無」「所定労働時間」「雇用主」これら三点です。

その他の雇用形態との違い

契約社員

契約社員は、労働契約にあらかじめ雇用期間が定められており、契約期間の満了によって労働契約は自動的に終了します。一回当たりの契約期間の上限は原則として三年です。このように、契約期間があらかじめ明確に定められている点が派遣社員と異なります。

パートタイム労働者

パートタイム労働者は一週間の所定労働時間が同じ事業所に雇用されている正社員より短い労働者です。派遣社員と異なるのは、雇用主と指揮命令を出す会社が共通しており、他の会社に派遣されることがないという点でしょう。

短時間正社員

短時間正社員はフルタイムの正社員と比較して所定労働時間や所定労働日数が短い正社員です。派遣社員との違いとして、期間の定めのない労働契約を結んでおり、時間あたりの基本給および賞与・退職金などの算定方法などがフルタイムの正社員と同等という点が挙げられます。

業務委託契約者

「業務委託」や「請負」という形態で働く場合、注文主の指揮命令を受けない「事業主」として扱われます。そのため、原則として正社員や派遣社員、契約社員、パートタイム労働者、短時間正社員のような「労働者」としての保護が受けられません。

家庭内労働者

委託を受けて物品の製造や加工を個人で行う労働者です。家庭内労働者は「事業主」という扱いですが、委託者との関係が使用者と労働者の関係に類似していることから家内労働法が定められています。この法律から仕事を委託される際に家内労働手帳の交付や最低賃金の遵守などの対応を受けることが可能です。派遣社員とは働き方や適用される法律が異なります。

自営型テレワーカー

注文者から委託を受け、情報通信機器を活用して自宅または自宅に準じた場所で成果物の作成または役務の提供を行う労働者です。適切な働き方をするために注文者や仲介事業者は「自営型テレワークの適正な実施のためのガイドライン」を遵守しなければなりません。注文者から委託を受ける点が派遣社員と異なります。

派遣社員のメリット・デメリット

メリット

好みの仕事を探しやすい

一般的に派遣の仕事は任される仕事の範囲が限られているので、自分が得意な分野の仕事ややりたい仕事だけを選んで働くことができます。派遣会社が紹介する仕事のなかから自分の希望に合うものを選べるため、正社員のように希望しない仕事や部署への異動や配置を受け入れる必要がなく、労働者自ら仕事を選択できるのが特長です。
働きたい職種が明確に定まっているのであれば、特定の専門分野の派遣に特化した派遣会社を選ぶとさらに好みの仕事に直結しやすいでしょう。専門分野に特化した派遣会社であれば、希望の仕事の紹介はもちろん、職種特有の悩みやキャリアプランの相談にも乗ってくれるからです。

仕事とプライベートの両立がしやすい

派遣社員の勤務時間は雇用契約で「〇時~〇時まで」というように明確に定められているので、残業が調整しやすく、突発的な休日出勤も避けられる傾向があります。その分ジム通いや習い事、スキルアップのための勉強など、仕事以外の時間を充実させることが可能です。また、残業が発生してしまったとしても、残業代金が支払われるうえ、パートタイム労働者と比較して時給が高いので効率よく収入を得られるのもメリットといえるでしょう。
勤務時間だけでなく、勤務日数、職種、仕事内容、勤務地などさまざまな条件をライフスタイルに合わせて自由に選択できるのも派遣社員の特長です。就業時間が短い仕事を選べば家事や育児の両立や資格取得のためのスクールに行くこともできるでしょう。また、仕事に就けない期間があれば、該当期間の就業を考慮・交渉することもできるため、仕事とプライベートを両立したい方にぴったりの働き方です。

デメリット

常に希望の仕事があるとは限らない

派遣社員のデメリットは雇用が不安定であることです。派遣社員は派遣会社と雇用関係を結んで就労しますが、その前提として派遣先と派遣会社の間に派遣契約が成立していなければなりません。この派遣契約が終了してしまうと派遣社員は仕事を失い、次の仕事を見つける必要があります。希望や条件の合う仕事がない場合、希望と異なる仕事に就かなければ長期間収入が途絶えてしまう可能性も出てきます。
派遣社員は一般的に三ヶ月または六ヶ月間の雇用期間で雇用契約を結び、契約更新をしながら働きますが、同じ職場にいられるのは三年までです。しかし、希望の仕事が見つかり次第長く働きたい、あるいは正社員を目指したいという場合は、直接雇用を前提に一定期間派遣社員として働く「紹介予定派遣」を選ぶと良いでしょう。紹介予定派遣を通して希望の仕事を見つけて直接雇用が決まれば、次の仕事探しをしなくて済みます。

契約分野以外の仕事ができない

派遣社員は補助的な仕事が多く、責任のある仕事をしたい方にはデメリットに感じられるかもしれません。同じ職場で働いているとはいえ、派遣先からすれば他社の社員となるので、重要な仕事や責任のある仕事は任せづらいからです。なかには、単純作業しか任せてもらえず、自分のキャリアにマイナスの影響を及ぼすことも考えられます。
とはいえ、重要な仕事や責任が重い仕事がプレッシャーに感じる方や、プライベートを優先したい方にはデメリットにはならないでしょう。また、責任がある仕事をしたい場合は、専門分野に特化した派遣会社に相談することを推奨します。専門分野に特化した職種であれば、ある程度の責任のある仕事を任せてもらうことや、今後のキャリア形成にプラスの影響を与えることが期待できるからです。

まとめ

ここまで、派遣社員の概要についてご紹介しました。派遣社員は派遣会社と労働契約を結び、条件や希望に合う派遣先で就労するという働き方です。雇用が不安定、補助的な仕事がメインというデメリットもありますが、希望通りの仕事を選ぶことができ、ワークライフバランスをとりやすいというメリットもあります。他の雇用形態との違いやメリット・デメリットを把握して、自分に合う働き方を選択しましょう。